Gradleのビルドプロセスで複数のJAR依存関係を1つのFat JAR(すべての依存関係を含むJAR)にまとめるためのプラグイン”Shadow Plugin”を使った解決方法。
Shadow Pluginの特徴と用途
- 依存関係の再パッケージ: 依存するJAR内のクラスやパッケージ名をリネームして競合を防ぐ。
- Fat JARの作成: 複数の依存関係を含む1つの大きなJARを生成。
- Gradle対応: 標準的なGradleプロジェクトに容易に統合可能。
Shadow Pluginのセットアップ
- プラグインのインストール
- 依存関係の追加
プロジェクトのbuild.gradle
に以下を追加して、Shadow Pluginを導入します。
gradle
コードをコピーする
plugins {
id 'com.github.johnrengelman.shadow' version '7.1.2'
}
dependencies
セクションに必要なJARやAARファイルを追加します。
gradle
コードをコピーする
dependencies {
implementation 'com.example:PaymentApi:1.0.0'
implementation 'com.example:CardReader:2.0.0'
}
Shadow Pluginの設定
- 基本的なタスクの設定
- パッケージ名のリロケーション(再パッケージング)
com.example.payment
→com.custom.payment
- これにより、元のSDKと異なる名前空間にクラスを移動します。
Shadow Pluginを使ってFat JARを作成するタスクを設定します。
gradle
コードをコピーする
shadowJar {
archiveClassifier.set('all') // 出力ファイル名を指定
}
この設定で、プロジェクトの全ての依存関係が1つのJARにまとめられます。
relocate
メソッドを使用して、特定のパッケージ名をリネームします。これによりクラス競合を防ぎます。
gradle
コードをコピーする
shadowJar {
relocate 'com.example.payment', 'com.custom.payment'
relocate 'com.example.cardreader', 'com.custom.cardreader'
}
ビルドとFat JARの生成
Shadow Pluginを設定した後、以下のコマンドでビルドを実行します。
sh
コードをコピーする
./gradlew shadowJar
生成されたFat JARは、プロジェクトのbuild/libs/
ディレクトリに出力されます。
使用例
生成したFat JARをAndroidプロジェクトで使用するには、libs
ディレクトリに配置し、build.gradle
で依存関係を追加します。
gradle
コードをコピーする
dependencies {
implementation files('libs/shadow-all.jar')
}
注意事項
- ビルドサイズの増加
- サポートとメンテナンス
- 法的な配慮
Fat JARによりAPKサイズが大きくなる可能性があります。必要最小限の依存関係のみを含めるように注意してください。
Shadow PluginはJARのマージには最適ですが、Android固有のAARには一部制限があります。そのため、AARの統合が必要な場合は、他の方法も検討する必要があります。
JARやAARをリネームした場合、その行為がライセンスや規約に違反しないか事前に確認してください。
まとめ
Shadow Pluginは、Androidプロジェクトでクラス競合を回避するための強力なツールです。特に、JARファイルを取り扱う場合に適しています。パッケージのリネームやFat JARの作成により、複数のライブラリを効率的に統合できます。