Java や Android プロジェクトで JAR や AAR ライブラリを実行時に動的に切り替えるための手法を紹介します。
1. 反射(Reflection)を使用する
ClassLoader と Reflection を用いて、特定の JAR ファイルを実行時に動的に読み込みます。
手順:
1.JAR ファイルを指定ディレクトリに配置します。
2.以下のコードを使用して JAR をロードします。
import java.io.File;
import java.net.URL;
import java.net.URLClassLoader;
public class JarLoader {
public static void main(String[] args) throws Exception {
File jarFile = new File("/path/to/your/library.jar");
URL[] urls = { jarFile.toURI().toURL() };
URLClassLoader classLoader = new URLClassLoader(urls);
Class<?> loadedClass = classLoader.loadClass("com.example.YourClass");
Object instance = loadedClass.getDeclaredConstructor().newInstance();
loadedClass.getMethod("yourMethod").invoke(instance);
}
}
注意点:
リフレクションを多用するとコードが煩雑になり、パフォーマンスやセキュリティの問題が発生する可能性があるため、信頼できるライブラリを使用するようにしましょう。
2. サービスプロバイダ(Service Provider Interface, SPI)を使用する
META-INF/services を使用して、実行時に異なる実装を動的に選択できます。
手順:
1. インターフェース(MyService)を定義する
public interface MyService {
void execute();
}
2. インターフェースの実装を用意する(MyServiceImplA と MyServiceImplB)
public class MyServiceImplA implements MyService {
@Override
public void execute() {
System.out.println("Service Implementation A");
}
}
public class MyServiceImplB implements MyService {
@Override
public void execute() {
System.out.println("Service Implementation B");
}
}
3. META-INF/services ディレクトリを作成し、MyService の実装クラスを定義する
com.example.MyServiceImplA
com.example.MyServiceImplB
4. ServiceLoader を用いて実行時にクラスをロードする
import java.util.ServiceLoader;
public class ServiceLoaderExample {
public static void main(String[] args) {
ServiceLoader<MyService> loader = ServiceLoader.load(MyService.class);
for (MyService service : loader) {
service.execute(); // 実行時にロードされたクラスの実装が呼び出される
}
}
}
3. Android用:Dynamic Feature Modules を使用する
Android プロジェクトでは、Dynamic Feature Modules を用いることで、実行時に AAR を切り替えることができます。
手順:
1. Dynamic Feature Module を設定する
2. build.gradle で設定を行い、baseModuleName を指定する
3. モジュール内に AAR を配置し、libs ディレクトリで管理する
4. SplitInstallManager を用いて動的にモジュールを読み込む
SplitInstallManager splitInstallManager = SplitInstallManagerFactory.create(context);
SplitInstallRequest request = SplitInstallRequest.newBuilder()
.addModule("your_dynamic_feature_module")
.build();
splitInstallManager.startInstall(request)
.addOnSuccessListener(/* success callback */)
.addOnFailureListener(/* failure callback */);
4. OSGi を使用する
Java プロジェクトでの高度なモジュール管理が必要な場合、OSGi(Open Services Gateway Initiative)を使用して、バンドルを実行時に切り替えることができます。
手順:
1.OSGi フレームワークを導入(Apache Felix や Eclipse Equinox など)
2.各ライブラリを OSGi バンドルとしてパッケージ化
3.OSGi API を使用して動的にバンドルを管理する
OSGi のセットアップには時間がかかりますが、実行時にモジュールのインストール、更新、削除を制御できる柔軟なアプローチです。
まとめ
•単一の JAR を切り替える場合 → Reflection を使用
•複数のサービス実装を動的に選択する → ServiceLoader を使用
•Android プロジェクトで AAR を切り替える → Dynamic Feature Modules を使用
•高度なモジュール管理が必要な場合 → OSGi を導入
目的に応じて適切な方法を選んでください。
Android OS 8.1 で使用不可または制限がある方法
•SPI (Service Provider Interface) → Android では標準サポートがないため使用不可。
•Dynamic Feature Modules → Android 8.1 では完全に対応していない。
•OSGi → Android 環境での利用は非現実的。
推奨アプローチ
Android OS 8.1 で JAR を動的に切り替えたい場合は、DexClassLoader と Reflection を使用することをお勧めします。クラスの読み込みと動的実行の基本的なサンプルコードを参照し、必要な機能を実装してみてください。
一方で、AARファイルについては、上記の方法は使用できません。
DexClassLoader を使って JAR ファイルを動的に読み込む手法は、基本的には AAR ファイルにも応用できますが、直接 AAR を読み込むことはできません。その理由は、AAR ファイルが Android Studio 用に設計されており、複数のファイルやリソース(classes.jar、res/、AndroidManifest.xml など)を含む ZIP アーカイブ形式のパッケージであるためです。
そのため、AAR を直接 DexClassLoader で読み込むことはできませんが、AAR ファイルを JAR として扱う形に変換するか、必要なリソースを手動で分離・適用することで、AAR を実行時に動的に読み込む方法があります。
AAR を実行時に切り替える方法
以下に AAR を動的に切り替えるための手順とアプローチを紹介します。
手順 1: AAR を JAR に変換する
1. AAR ファイルを解凍する
AAR は ZIP 形式なので、unzip コマンドや解凍ツールを使って展開します。
unzip your-library.aar -d /path/to/unpacked-aar
2. classes.jar を抽出する
展開されたディレクトリの中に、classes.jar というファイルが含まれています。これが AAR 内の Java クラスがコンパイルされた JAR です。
3. DexClassLoader を使用して classes.jar を読み込む
DexClassLoader を用いて、classes.jar をロードし、リフレクションを使ってクラスやメソッドにアクセスします。
import dalvik.system.DexClassLoader;
import java.io.File;
public class DynamicAARLoader {
public static void main(String[] args) throws Exception {
// classes.jar のパスを指定
File optimizedDexOutputPath = new File(context.getDir("outdex", 0).getAbsolutePath());
DexClassLoader classLoader = new DexClassLoader(
"/path/to/unpacked-aar/classes.jar",
optimizedDexOutputPath.getAbsolutePath(),
null,
getClass().getClassLoader()
);
// 必要なクラスをロード
Class<?> loadedClass = classLoader.loadClass("com.example.YourClassInAAR");
Object instance = loadedClass.getDeclaredConstructor().newInstance();
loadedClass.getMethod("yourMethod").invoke(instance);
}
}
注意点:
• AAR の classes.jar には、Java クラスのみが含まれています。AAR が res/ ディレクトリや AndroidManifest.xml を持っている場合、それらを動的に利用するためには、別途 Android のリソース管理を行う必要があります。
手順 2: リソースファイルの取り扱い
AAR の動的ロードを行う際に問題となるのは、res/ ディレクトリや AndroidManifest.xml の扱いです。AAR にはクラスファイル以外にも、画像や XML レイアウト、AndroidManifest などが含まれているため、以下のような対応を検討します。
1. リソースの手動読み込み
解凍した res/ ディレクトリの中身をアプリ内の特定のディレクトリにコピーし、動的にアクセスする方法を取ります。
2. プログラム内でリソースを動的に使用する
リフレクションを使用して、リソース ID をプログラム内で動的に参照する方法があります。この場合、リソース名 (R.drawable.icon) などを getIdentifier() メソッドを使って参照します。
int resId = context.getResources().getIdentifier("icon", "drawable", context.getPackageName());
ImageView imageView = new ImageView(context);
imageView.setImageResource(resId);
3. 別のプロジェクトで Module として AAR を管理する
AAR がリソースを含む場合や、依存性が複雑な場合は、AAR を単体で扱うよりも、別の Android モジュールとして扱う方が簡単です。動的モジュールをアクティブ化する際には、AndroidManifest の application タグに android:splitName を指定するなどの対応が必要です。
手順 3: プラグインアーキテクチャの導入
DexClassLoader を用いる手法では、すべての依存関係を解決できない場合もあるため、以下のようなライブラリを導入して、プラグインとして AAR を動的に読み込む方法を採用するのも一つの選択です。
1. Small, RePlugin, DroidPlugin などのサードパーティプラグインライブラリ
これらのプラグインフレームワークを使用することで、AAR や APK の動的ロード、リソース管理、クラス間の依存関係の解決をより簡単に実行できます。
2. Dynamic Feature Modules を検討する(将来のバージョン向け)
Android 8.1 では制限される可能性がありますが、9.0 以降では Dynamic Feature Modules を利用し、AAR を実行時に動的に切り替えることができるようになるため、アプリのターゲットバージョンを将来上げる計画があれば検討してみてください。
まとめ
Android 8.1 で AAR を動的に切り替えるためには、以下の方法を考慮してください:
1. AAR から classes.jar を抽出し、DexClassLoader で読み込む
2. リソース(res/ ディレクトリ、AndroidManifest.xml)を手動で管理し、アプリ内で動的にアクセスする
3. サードパーティのプラグインフレームワークを使用する
推奨アプローチ
• 実行時にクラスを動的にロードする場合 → DexClassLoader を使用。
• リソースを含む場合は、getIdentifier() を使用してリソース ID を動的に取得する。
• プラグインアーキテクチャが必要な場合は、プラグインフレームワークを使用して管理。
この方法で、AAR ファイルのクラスとリソースを動的に切り替えることが可能です。プロジェクトの要件に合わせて、最適な方法を選んでください。