特定用途向けデバイスに採用すべきバージョン

Android OSをベースにした専用端末を作成する際に、どのバージョンを選ぶかは以下のポイントを考慮することが重要です。

1. サポートとセキュリティの考慮

サポート期間:新しいバージョンほど長くセキュリティパッチが提供されるため、将来的な保守を考えると最新バージョンを選ぶのが望ましいです。

セキュリティ強化:Android 11以降は権限管理やプライバシー保護機能が大幅に強化されているため、データの保護やプライバシーを重視する場合はこれらのバージョンが適しています。

2. ハードウェア要件

•最新のAndroidバージョンほど高度なハードウェアリソース(RAM、CPUパワーなど)を要求することが多いため、使用するハードウェアに合わせてバージョンを選定する必要があります。

•もし、低リソース環境や安価なデバイスをターゲットにする場合は、軽量化されたバージョン(例:Android 10やAndroid Goエディション)を検討することも有効です。

3. 機能の互換性

•Android 12以降は「Material You」デザインや大画面対応(折りたたみやタブレット)などが強化されており、UI/UXが重要な場合は新しいバージョンを選ぶと良いです。

•特定のデバイス制御(カメラ、センサーなど)やカスタム機能を多く使用する場合は、APIサポートや機能が成熟しているバージョン(Android 11や13)が推奨されます。

4. Project Treble のサポート

Android 8.0以降のバージョンは「Project Treble」が導入されており、システムアップデートが容易になっています。特に、将来的にOSのアップデートを行う可能性がある場合は、これを考慮するとバージョン8.0以上を選ぶのが望ましいです。

5. カスタマイズと互換性

•Android 11以降はプライバシーや権限管理が厳格化されているため、専用端末の制御やセンサーアクセスが必要な場合は、影響を受ける可能性があります。

•特定のセキュリティポリシーやエンタープライズ用途を考える場合は、Android EnterpriseやカスタムROMのサポートも検討してください。

6. 選定の推奨バージョン

一般的な用途:Android 13または14(最新のセキュリティ更新と機能サポート)

リソース制約がある場合:Android 10(安定性と軽量化が確保されている)

長期サポートと互換性:Android 12(最新機能と広いAPIサポート)

具体的な用途(IoT、産業機器、医療機器など)に応じて選択基準が変わるため、開発する端末の要件を明確にした上で、各バージョンの特性を見極めることが重要です。詳しい検討が必要な場合は、Googleの公式ドキュメントや「Android Enterprise Recommended」プログラムの情報を確認するとよいでしょう。